Accepted paper:

アイルランド中等教育における日本語の導入(Post-Primary Languages Initiative,PPLI)が現地の「継承日本語」話者の子ども達の日本語学習に及ぼす影響 [JP]

Authors:

Midori Inagaki (Waseda University)

Paper short abstract:

This presentation considers how the PPLI, a national development project for foreign languages in Ireland, has deeply influenced the motivation of children of Japanese Heritage speakers. This is an example of a country's language policy strongly effecting a group outside the intended target.

Paper long abstract:

 本発表はアイルランドで日本語を学ぶ日本につながる子ども達の日本語学習の動機づけに、現地の言語教育政策が非常に深く影響を及ぼしている事例として、アイルランド中等教育課程における日本語の導入と現地の継承日本語教育の交差する地点を呈示する。 アイルランド共和国(以下、アイルランド)では2001年より中等教育課程において、欧州の言語教育政策の流れを受けた外国語教育推進のプロジェクト、PPLIの一環として日本語が導入された。以来中等教育課程における日本語の履修者は増え続け、2017年現在、中等教育修了試験(Leaving Certificate Examination,リービングサート)の外国語の試験科目として日本語は定着している。一方、アイルランドでは片親を日本人とする子ども達が増加している。日本人の親達は、日本に帰国予定のない子ども達に「なぜ日本語を学ばせるのか」自問しつつ日々子どもの補習校通学をサポートしている。それらの保護者にとっては、子どもの日本語の習熟レベルの目標をどのように設定するかが個々の課題となっている。  発表者は2012年3月より計6回アイルランドの在留邦人の親子を対象に日本語学習に関する聞き取り調査を実施してきた。日本人の親達からは、子どもを補習校に通学させて日本語を学ばせる理由として「リービングサートの日本語で高得点をとること」が、頻繁に挙げられる。インタビューデータからは現地の言語教育の文脈の中で、アイルランドの青少年を対象に外国語としての日本語科目として始まった日本語教育の導入が、期せずして、いわゆる「継承日本語」話者である日本につながる子ども達やその保護者の日本語学習の動機付けとして大きな影響を与えている様子がうかがわれる。  ある国の言語教育政策が、直接の「対象者」以外に波及的な効果を及ぼす一例として、アイルランドの事例を示すことが本発表の目的である。

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Japanese as a heritage language